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東京なんかクソだ。そう言って笑ったことを覚えている。
すれ違っても気付かないようなこの東京の際で私達は出会った。
細い腕や絡まりやすい長い髪や大きくくぼんだ背中の造作を自分の宝物のように思った。
床に付くとか、所在のない様を見るとか、そのたびに悲しい、と感じるようになってしまった。掃いて捨てても余るほど贅沢な感情だ。
自分を蜂の巣にしてくれると約束してくれたけれど、今になってはそのことが悔やまれる。無遠慮であり自分には相応でないという気になったのだ。
ガラムを吸った唇はべたついて甘い。夏も盛りの頃だった。

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すれ違っても気付かないようなこの東京の際で私達は出会った。
細い腕や絡まりやすい長い髪や大きくくぼんだ背中の造作を自分の宝物のように思った。
床に付くとか、所在のない様を見るとか、そのたびに悲しい、と感じるようになってしまった。掃いて捨てても余るほど贅沢な感情だ。
自分を蜂の巣にしてくれると約束してくれたけれど、今になってはそのことが悔やまれる。無遠慮であり自分には相応でないという気になったのだ。
ガラムを吸った唇はべたついて甘い。夏も盛りの頃だった。

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青春の一切がこの先どういうふうに腐って自分の中に堆く積もっていくのか考えると怖い。
これ以上何が不足なんだ。どのくらい不満に思っているのか、自分でもわからない。
焼酎を一口飲んで、落ち着く、と思った。
頭から疑ってかかり這いつくばる様は退化に怯える獣によく似ている。
酒が喉を滑り、反吐が出るような男に睦言を切り売りしている最中でも、自分は因果が正しく作用しているのを肌で感じるとその正当さに胸がすっとした。
刺して殺せば人生だ。玉の値持って粋を着ても真実には届かない。
成れの果てまで来てしまった。それなのに、我々は浅はかだ。視線は合わないままで、フロントガラスが白く濁っていた。

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これ以上何が不足なんだ。どのくらい不満に思っているのか、自分でもわからない。
焼酎を一口飲んで、落ち着く、と思った。
頭から疑ってかかり這いつくばる様は退化に怯える獣によく似ている。
酒が喉を滑り、反吐が出るような男に睦言を切り売りしている最中でも、自分は因果が正しく作用しているのを肌で感じるとその正当さに胸がすっとした。
刺して殺せば人生だ。玉の値持って粋を着ても真実には届かない。
成れの果てまで来てしまった。それなのに、我々は浅はかだ。視線は合わないままで、フロントガラスが白く濁っていた。

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こうやって移る当てなく自分の内部に滞留していた恥や惨たる気味が決壊するのは近い。そして何一つも結実しえないのだ。
8月31日
この島に着いてから履き替えたビーチサンダルで歩くたび、ぺたぺたと間抜けな音がした。
八月も終わる頃とはいえ、東京の夜ならまだ暑いだろうが、この島の岩場はひんやりとして煙草なんかを吸っているうちに肌寒くなる。
あと一歩踏み込んだら海だった。世界の一番端まで来てしまったのに、自分は未だ気が済むところまで逃げてしまいたいと思っていた。

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8月31日
この島に着いてから履き替えたビーチサンダルで歩くたび、ぺたぺたと間抜けな音がした。
八月も終わる頃とはいえ、東京の夜ならまだ暑いだろうが、この島の岩場はひんやりとして煙草なんかを吸っているうちに肌寒くなる。
あと一歩踏み込んだら海だった。世界の一番端まで来てしまったのに、自分は未だ気が済むところまで逃げてしまいたいと思っていた。

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また歳をとってしまった。
それなのに、頑丈な自我を持たないせいで自己淘汰もできず変化もない自分にいちいち心臓がただれそうな焦燥を覚えなければならないことに疲弊する。
この池袋の焼却炉は白くて高く、昔読んでいた漫画の世界の塔のように見える。その袂の陸橋から見える景色が好きだ。そういう話をした。
今日見た夢の話、欲しいものの話、友達がほしいこと。今年もまだすいかを食べていないこと。海に行きたいこと。それで朝焼けを見たいこと。
煙草をガラムからマルボロメンソールライトに戻したら煙を吐く度に胸がひゅんとして、自分は思うより上手く貴恵でいられるから気が少し楽になる。
気付いたら二十歳でなくなっていたから、大人しくショートケーキを食べた。
乗っていたいちごをもらったら、うれしくて参った。
血縁であることは無視できないが、欲しい物を訊かれることや、金や、あるいはいくら振り込んだとか、一年のうち節々に聞く血縁の言うことは常に不躾だと感じていた。
だからそういう一瞬でも片手間ではない余地のあることをこの二十一年間してほしかったのだと思う。
私が幸福になるのは不自然だ。だから不幸にならなければ自分は自分で得心がいかない。
そういう意気地なしだ。

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このガラムは、吸い終えると唇がべたつくみたいに甘い。
煙草の味もきついアルコールの匂いも随分昔に覚えてしまった。セックスも良くないことも。
その苦悩が自分の作用の及ぶところにあったことは一度もなく、手を伸ばす意気地もなかったが、人並みに幸福になってほしかった。
痩せ細った手で灰を落とし、退屈そうで所在のない線の細い顔に8ミリの煙はよく似合っていて、あんなふうになりたいと十代半ばの懇意だった頃は何度も思っていた。
ただ憧れた。それでよかったではないか。
世界のずっともっと端のほうで出会った頃、マルボロは人に流れる血よりも濃かった。

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煙草の味もきついアルコールの匂いも随分昔に覚えてしまった。セックスも良くないことも。
その苦悩が自分の作用の及ぶところにあったことは一度もなく、手を伸ばす意気地もなかったが、人並みに幸福になってほしかった。
痩せ細った手で灰を落とし、退屈そうで所在のない線の細い顔に8ミリの煙はよく似合っていて、あんなふうになりたいと十代半ばの懇意だった頃は何度も思っていた。
ただ憧れた。それでよかったではないか。
世界のずっともっと端のほうで出会った頃、マルボロは人に流れる血よりも濃かった。

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唾液を飲み下している。それがたまに反吐が出るほど堪えられない。
このまま胃に落ちる瞬間を想像すると吐ききれそうになる。そして喉を滑っていく。
因果応報のほかに一句も付け足す気にならないのだが、自分にとって唯一に思った。
それだから腹の足しにもならないのに誠実だとか不義とかうそとか正直とか生きるだの死ぬだのにまっすぐ行き着くほど堪えられないのは自然だけど、はねつけられるのも自然だ、そのことはとっくにわかっていた。
不義をしている。
自分は睦言を売って生きるのだから、それが正解ではなくとも、掲げられるのは命とかそういうもののほかに手元にはなかった。
ガラスのランプシェードが揺れるたびにこの部屋が水の底に見える。その薄闇の中でだけ私達は息をしていた。

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このまま胃に落ちる瞬間を想像すると吐ききれそうになる。そして喉を滑っていく。
因果応報のほかに一句も付け足す気にならないのだが、自分にとって唯一に思った。
それだから腹の足しにもならないのに誠実だとか不義とかうそとか正直とか生きるだの死ぬだのにまっすぐ行き着くほど堪えられないのは自然だけど、はねつけられるのも自然だ、そのことはとっくにわかっていた。
不義をしている。
自分は睦言を売って生きるのだから、それが正解ではなくとも、掲げられるのは命とかそういうもののほかに手元にはなかった。
ガラスのランプシェードが揺れるたびにこの部屋が水の底に見える。その薄闇の中でだけ私達は息をしていた。

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街の灯を見て歩いた。
赤西仁は亡友のことを歌っていると思っていた。
煙草に火を点ける色男の横顔や、あるいは自分の額にかかる柔らかい息だとか、そういうことを思い出す。
それで、それの何が不足なんだ、逐一叱責されている気分になる。
こんなことに苦悩しなければならない自分が嫌になる。
この部屋は現像された薄い写真で、針で無数に穴を空けたから後ろから照らされた目の覚める青い照明が鮮やかに光っていた。
自分は不義をしている。
ここからこの世の鬼に連れ出され断罪されたらどれだけ楽になるだろうと考える。円錐の刃物が違えずまっすぐここまで落ちてきて心臓を一突きにされるとか、そういう方法で一日一回自分を殺してみると五臓六腑が溶け出してしまって肋骨に留まっていられなくなりこのマンションの床も溶かしていく、それを想像すると寛かな気分になる。
誰にも知られずに台無しになっても許されない事実がまだこの手の中にあるならそれでいいのだ。そのことに安心する。

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