忍者ブログ
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

備忘録
嬉しくて、参った、と思ったことを明白に覚えている。風が強くて、ちょうどマドンナみたいに頬は灰で熱かった。
あんなふうになりたいと思った。その憧憬の作用が強い肯定となって今は生きながらえている。
これらがいつか振り返る脆弱な思い出の中なのだと最初から知っていた。押し黙って酒を飲めば、一切は過ぎる。
自分は、この世の鬼に断罪される瞬間を待っている。
これからはこの頭は自分の矜持を守るためだけに使う。自分を確立させるだけの頑丈な才覚が欲しかった。
「この辺りは、海水を被ったから乾くと一面真っ白になる」との由。福島県松川浦。
気が済むまで逃げたい。無理なら、ドブに溺れて死ねばいい。









にほんブログ村 メンタルヘルスブログ アルコール依存症へ
にほんブログ村
PR
自分は人間として生まれ、本当に赤い血が熱く流れたことがあっただろうか。
アシュラムを出てからパンサーは死んだ。そういうことがあった。
水や、食事や、そういうものが足りなくて、あるいは心の底にある何か大事な部分が欠落して、ひからびて死んでしまったような感覚だった。
だから自分が仙台を後にしてからまだあの家にパンサーはいて、押し黙ったまま次第に大人しくなって息をしなくなったのだと思う。
今になって場所を取って住み着いたのはきえとけいだけだ。
音楽は救いだった。歌詞と口約束をするとほんの少し生きていける感じがして救われた。








にほんブログ村 メンタルヘルスブログ アルコール依存症へ
にほんブログ村
澱となる青春の一切が、間違いだったと口にしたなら一瞬で塗り替えられてしまう気がしてくる。それが堪えられない。
最後に残された小さな機宜のことを考えると、意識が散漫になる。
すべてが過ぎたら酒を煽ればいいだけだろうか。 
悲しくて逃げ場がなくて燻ってまた酒を煽る。寝ても覚めても焼き増しの日々、そのことが怖い。
こんな歳になって、そんなことに苦悩しなければならないことが嫌になる。








にほんブログ村 メンタルヘルスブログ アルコール依存症へ
にほんブログ村
正しくないことも正解だと信じて、何も結実しないまま、友情や恋、 あるいは憧れだとか何の決着もつかないまま私と彼の間では八年が過ぎた。
そのとき世界は私のものだった。そう思った。
それが最後だと息つく暇もなかった。
ただの一度も好きだと口に出したことはなかった。
自分は殊勝で器用だ。
それだけで君に示す純粋が見えなくなる。








にほんブログ村 メンタルヘルスブログ アルコール依存症へ
にほんブログ村
ゴム手袋をした看護婦の手がはさみを持って何かを切り離すのが見える。
病室の慣れない枕に押し付けた耳元で何羽もの蝉が鳴いてうるさい。
森を行く黒々としたオオサンショウウオは、何度も後ろを振り返って私がちゃんと自分についてきているか確認している。
病棟に入ってから左手首につけられたネームバンドは家畜を管理しているふうに思ったし、
毎日入浴ができず、よれよれの下着と服を着、点滴を打たれベッドに横たえられているだけの生活をしていては人間の尊厳を侵されている気になってくる。
私は病棟にいる間、常に、自分の体が緩い粘着質の水分に包まれている感覚がしていた。
病人にはみな理不尽に優しい。それだからぬるく頑丈な膜が張って剥がそうとしない。








にほんブログ村 メンタルヘルスブログ アルコール依存症へ
にほんブログ村
入院して四日にもなればいくつかあるルールや習慣じみたものに気付く。
患者の入浴は一日ごとに男女で交替する、冷蔵庫がありそこは患者専用で名前を書いてデザートなんかを冷やしている、毎日ではないが朝各ベッドに備え付けられたゴミ箱を回収する。
広いと思っていた病棟も歩き回っていれば戻ってくる道のりを頼りなく思うほど広くはなく、それは失望にも似た感覚だった。
自分はそれを何度も経験したことを覚えている。
初めて聴くバンドのCDや、新しい携帯電話、新しいデジタル一眼カメラ、初めて行く駅、
それらがそれぞれ属する世界に手を突っ込んだら真っ暗で底につかない心細さで胸が詰まって、途方もなく焦燥し不安になる。
しかしそれが慣れてしまえば案外狭い場所だということに気付いて、次第に高温でも低温でもなくなってしまい失望する。
そういうことを何度も繰り返した。倦むということが怖い。
初めに覚えた不安と焦燥と混じりけのない期待がないまぜになった感覚に憧れを抱くようになる。








にほんブログ村 メンタルヘルスブログ アルコール依存症へ
にほんブログ村
五臓六腑と肉と皮の間に詰まっていた重要な部分が抜け落ちてしまって、ぬけがらになる、そのことが怖い。
自分の中の東京のほとんどがすこしだけ白く濁って、そういえば目が痛くて擦った。
音楽には退魔の効果があると思っていた。それなら自分にとって  と  はそういうおそろしいもので自分は彼女らを看守だと思った。
ひどい言葉を吐き、暴力的で、高圧的で、つまるところの恐怖だった。
一人分の泣き顔はいまでもどうしようもなくなってたまに鼻の奥が痛い。








にほんブログ村 メンタルヘルスブログ アルコール依存症へ
にほんブログ村
プロフィール
HN:
帰依
性別:
非公開
最新記事
(06/19)
(05/12)
(05/11)
(04/07)
(02/02)
P R
フリーエリア
powered by 忍者ブログ [PR]