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男が走らせる車に乗っている。
窓を開け、ガラムを吸う。やはり海と言えばガラムなのだ、自分の中では。
車内に流れる音楽はスーパーカー。窓から見える景色は曇り空の海。
緑色の電車が通り過ぎたり、サーファーが自転車にボードをくくりつけ通り過ぎるのを見つけたりすると、ああ、江ノ島に来たのだ、と感じる。
あと少しで海が見えるはずだ、こんな年になっても、そんなことで胸が高揚感で一杯になる。
そして、いつもこうやって自分をワクワクさせてくれる男のことを自分は愛していた。
フロントガラスは濁っていく。
深く息を吸い込む。
咳き込んだり、咳き込まなかったりする。それは我々にとっての日常だった。
思えば、このとき時間は既に薄紫色の夢のような感覚がしていた。まるでそれが最後の夏だと知っていたかのように。
キャンプ場を抜け、砂浜に出る。
草むらに座り込み、二人で煙草を吸う。
波の音、海の匂い、煙草、静謐、男。それ以外何もない。
男はiPhoneでSMAPのライオンハートを再生し始めた。口ずさむわけでもなく。それがなぜだか、恥を感じるほどちゃちなものに思えて仕方なかった。
けれども、自分は男を愛している、そのことで心の在り処がわかる、そんな気がした。








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